朝山家から車で15分。
豊後大野市の隣まちの竹田市に、
2022年夏に新たにオープンしたたまごカフェがあります。
その店名は「caprices(カプリセス)」。
美しい白壁と外観から伺える温かな店内の様子に、
思わず立ち寄りたくなるようなお店です。
今回はそんな竹田市のニュースポット、カプリセスの店主である
荒牧万里奈(あらまき・まりな)さん(以下、万里奈さん)にお話を伺いました。
写真:荒牧万里奈(あらまき・まりな)さん
caprices(カプリセス)な場所をこのまちに
店名のcaprices(カプリセス)には英語で「気まま」という意味があります。
その言葉の通り、お店には
「毎日の子育てを頑張るママ&パパにゆったりした心で、ほっと一息ついてほしい」
という想いがこめられており、
万里奈さん自身がそうであるように、ママ目線のこだわりがたくさん詰まっています。
自身の経験がきっかけとなったカフェづくり
そもそもカフェをつくるに至ったきっかけは、万里奈さんの妊娠でした。
埼玉県出身の万里奈さんが、
結婚を機にご主人の地元である竹田市へ移住したのは2018年のこと。
最初は知り合いも頼れる人も周りにおらず、
不安を感じることも多かったそうです。
そんな中で妊娠し、行動が制限される日々を経験する中で、
「ママたちが息抜きできる場所が自分たちの暮らすまちにあったらな」
と思うようになったといいます。
こだわりのたまごを使った「たまごカフェ」
カプリセスのメニューで使用されているたまごは、
すべて「グリーンファーム久住」のたまご。
「グリーンファーム久住」は、地元でも評判の高い養鶏場です。
ちなみに、万里奈さんのご主人の大貴さんが後を継いで経営しています。
提供写真:「グリーンファーム久住」で平飼いされている元気な鶏たち
大自然に囲まれた場所に位置し、
鶏の健康を第一に考えたこだわりの飼料を使っているとのこと。
自由に体を動かせる平飼い鶏舎で、のびのびとたくましく鶏が育てられており、
そんな人気のたまごは、カプリセス内でも購入することができます。
写真:カフェ店内で販売s
万里奈さんは、「グリーンファーム久住」のたまごを使って、
子どもや妊婦さんにとっても、安心で美味しいメニューを開発しました。
カプリセスの人気メニュー「ご褒美プリン」
一番の看板メニューは「ご褒美プリン(350円)」。
一口食べただけで多幸感に包まれる、
まさに「自分へのご褒美」にぴったりな大人気の焼プリンです。
こだわりの素材を使っており、
たまごの旨みと濃厚な味わいが口いっぱいに広がります。
子どもから大人まで、誰もが幸せな気持ちになれるプリンです。
カプリセスの人気メニュー「2種のスコーン」
魅力的なメニューにあふれるカプリセス。
今回、筆者は人気だという2種のスコーン
「チョコバナナスコーン(260円)」と
「クリームブルーベリースコーン(300円)」
を注文してみました。
写真:左チョコバナナスコーン、右クリームブルーベリースコーン
有機バナナを使用しているというチョコバナナスコーンは、ゴロゴロと入ったチョコと濃厚なバナナがマッチして絶品!
子どもたちにも大人気の一品です。
クリームブルーベリースコーンは、たっぷりのクリームチーズにブルーベリーの甘酸っぱさが相性バッチリで、思わず「美味しい~」と声が出てしまいました。
どちらのスコーンも、甘すぎず、生地にもパサパサ感がなくてしっとりと優しい口当たり。
家族や友人へのお土産にもおすすめです。
ママに優しく嬉しい工夫が満載
カプリセスでは、授乳室やおむつ交換台、調乳設備など、
乳児の子どもを持つママにとって嬉しい設備が整っています。
また、ドリンクは全てカフェインレス。
妊娠中のママから授乳中のママ、もちろん小さな子どもにも安心です。
こちらは、美味しすぎてびっくりしたカフェインレスコーヒーです。
「カフェインレスのコーヒーは美味しくない…」
そんなイメージを一口飲んだだけで払拭してくれました。
嬉しいことにコーヒー豆の販売もあり、
家でもカフェインレスコーヒーを美味しく楽しむために買って帰ることもできます。
また、店内には、捨てるにはもったいない子どもの古着やベビー用品の寄付コーナーも。
「もったいないをつなぐプロジェクト」
として
2022年9月にはじまった取り組みは、多くの賛同を得ているようです。
写真:店内の一角にある寄付コーナー
いつも周りの大切な存在に寄り添ってきた万里奈さん
お話すると、とても謙虚で柔和。
しかし、目の前の人に寄り添い、そのための行動力は人一倍。
周りに寄り添い手を差し伸べようとする万里奈さんの優しさは、どうやら幼い頃から変わらないようです。
もともと大の動物好きな万里奈さん。
小さな頃から犬や魚、数十匹ものハムスターなどたくさんの動物を飼育していたそう。
小学校から帰ると動物たちの世話で一日費やすことも。
そんな中、テレビで見た動物の殺処分の現状にショックを受け、
「動物たちを救える大人になりたい」
と小学生で獣医になる夢を抱きます。
その後、中学、高校と進学し、
獣医に向けての夢を叶えるため努力していた万里奈さんは、
高校2年生の頃に、大好きだった叔父さんを癌で亡くしてしまいます。
それを機に「余命が短い人々に対するターミナルケア*を学びたい」と、医学部へ進むことを考えるように。
*ターミナルケア…終末期の医療および看護のこと
大学では結果、獣医学部へ進んだ万里奈さんでしたが、
「大切な命を救える大人になる」
という志は変わらず、ずっと輝き続けていました。
NPO法人の立ち上げ
大学生活を送っていた万里奈さんは、
母が体調を崩して、再就職が難しい状況が続いたことを受けて
「社会的弱者が仕事につくことのできない現状を変えるにはどうすべきか」
と考えるようになります。
そんな想いで立ち上げたNPO法人では、
生活困窮者などが社会人になった後でも学習機会に恵まれない世の中を変えようと
高卒認定試験の取得や大学受験に向けてサポートを実施。
多くの人々が前を向くきっかけにもなりました。
「運営の仕方や資金面だったり…大変な事も多かったけれど、NPO法人での経験は、私の中でとても大きくて、考え方や生き方も変わったと思っています」。
想いを実際に形にし、奮闘したこの学生時代の経験が、万里奈さんにとって貴重な財産となったのです。
提供写真:大学卒業時の万里奈さん(左)と当時付き合っていたご主人の大貴さん
結婚と移住と子どもの未来
大学卒業間近に参加した企業のセミナーで、
当時、主催企業にいた大貴さんと出会った万里奈さんは、
「グリーンファーム久住」の後を継ぐことになった大貴さんの元へと移住し、結婚します。
はじめての土地に不安を抱えつつも、
竹田市での妊娠・出産を経て、
子育てを通して地域の人の優しさに触れる機会が増え、居心地が良くなったといいます。
「このまちは、誰かを思いやる気持ちが強い人が多いなと感じるんです。そんな素敵なこのまちは私にとって大切なふるさと。子どもたちにも、このふるさとの温かさをしっかりと残していきたいと思っています」。
子どもの居場所づくりに向けた取り組み
毎日の子育てを頑張るママ&パパがほっと一息つけるカフェとなったカプリセスでは、
現在、地域の子どもたちの場所づくりに向けても進みはじめています。
子どもたちの勉強をサポートしたり、保護者さんの悩みや不安を聞くなど、
気軽に立ち寄れる場所として、第2土曜に「無料塾」を新たに開講。
「学校や家での話をちょっと話を聞いてほしいとか、何か一つの居場所として気軽に立ち寄ってもらえたらなという思いがあります」。
万里奈さんらしい優しさあふれる新たな取り組みは、地域の大きな宝として光りはじめています。
最後に
小さい子どもから大人までほっと癒されるカフェ、カプリセス。
そのこだわりの空間とメニュー、取り組みには、大切な周りの存在に寄り添い、温かい場所を提供したいという店主・万里奈さんの想いがぎっしりと詰まっていました。
人口が減少し賑わいが減りつつある地域でも、変わらないふるさとを子どもたちに残したい。
そんな万里奈さんの想いが、
カプリセスをさらに地域の拠り所として、
これからますます竹田のまちを明るく照らしていくことは間違いないでしょう。
(取材 日淺紗矢香)
\お店の場所はこちら/
【お店の名前】 | Caprices(カプリセス) |
住所 | 〒878-0024 大分県竹田市拝田原234−1 |
アクセス | 朝山家から車で12分(駐車場あり) |
営業時間 | 11:00〜16:30 定休日:(日・月) |
電話番号 | 07031636892 |
席数・支払方法 | 12席・現金、クレジットカード、QR 決済 |
HP | https://kuju-egg.jp/ |
(2023/01/17)
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