こんにちは!朝山家の聡士(@HbHlUnRqYkj?bRMQ)です。
大分県豊後大野市の緒方町の里山の集落から発信しています。
この記事では、
古民家の味のある煤けた梁の色を残しつつ塗装で綺麗にする方法
を実体験をもとに紹介していきます。
手順通りにやると、「朝山家」の談話室のような
梁がむき出しのコントラストが美しい仕上がりになります。
写真:完成した部屋の様子
DIY前の状態はこちら。
実際の作業としては結構根気のいるDIY。
順番としては、床や壁よりまず最初に天井や梁を作業することをオススメします。
なぜかというと、削った木屑や煤けた埃などが床や壁を汚すからです。
作業手順としては上から、天井→床→壁の順番にすると
無駄な作業が発生せずに効率よく完成に近づけます。
古民家リノベーションをする際、いざ天井を解体して古民家の立派な梁を見た時は本当に感動しました。
写真:筆者が解体作業をしている様子
現代の家では到底使えない立派な梁は、
曲がりくねっているのにバランスをとって家の構造を支えています。
何より、柱の直径が大きい!木が太い!
伝統工法で建てられた立派な梁を下から見せるように出来たら、
めちゃくちゃカッコイイ。
しかし!
ご飯を食べるスペースや寝るスペースであれば綺麗にしたい!
とも思いました。
実際に、ご飯を食べている時に木屑や煤が落ちてきたら嫌ですし衛生的にも良くないです。
しかし、水拭きや削ってしまったらせっかくの長年かけて出来た風合いが消えてしまう。
さてどうしよう。
写真:梁を水拭きをして色が少し薄くなった様子
「どうやって綺麗にして味のある梁をみせるか?」
そんな方のために、
「梁を綺麗にして、なおかつ煤けた味のあるあの黒色を塗装で再現する方法」
も紹介していきます。
結論から言うと、
梁を綺麗にヤスリで削り、虫食いの穴はパテで補修後、自然塗料塗料を塗る
といった手順を踏みます。今回塗装作業をした梁の材質は「赤松」。
塗料はオスモ&エーデル株式会社の「自然塗料オスモ」を使いました。
ドイツ製の塗料で赤ちゃんが舐めても大丈夫。もちろん梁は舐めないと思いますが、それくらい安全な塗料です。
そもそも古民家の梁が黒いのはなぜ?
写真:天井を解体して出てきた煤けた梁
天井をあけるとそこには真っ黒い太い木の柱が。
これは昔の日本の生活スタイルに関係しています。
筆者の隣に住んでいる80代後半の方によると、
「昔は囲炉裏があって茅葺き屋根だった。」
「家の中でかまどや囲炉裏で火を焚くことで梁が煤けて虫もつかないから理にかなっていた」
とおっしゃっていました。
よく日本昔話で出てくるような昔の暮らしぶりを知り、
黒い梁からは先人の暮らしの知恵や歴史を感じることができました。
古民家の梁に使う塗料や塗装方法を選んだ基準4つ
はじめは、古民家なので「柿渋」か「墨汁」を使おうかと思いましたが、結局自然塗料を使うことにしました。梁の塗装で塗料を選んだ基準は4つでした。
今回使った塗料はこちら!
オスモ&エーデル株式会社の「オスモ」という塗料です。
(712番)色はエボニー・ツヤ消しです。色見本の中で一番暗い色。
出典:「オスモカタログ色見本」[pdf]
【01】穴を埋めた際のパテに色がのるかどうか?
虫食いの穴埋めをした際のパテの上に色が乗るか?でも判断しました。
もし、塗ったパテの上に塗料の色が綺麗にのらなかった場合
マダラ模様になってしまい失敗に終わることだけは避けたかったからです。
そこで、作業性も考慮して塗料を選択しました。
今回使ったパテは吉野石膏の上塗り下塗り兼用のものです!
※もちろんパテには塗料の色がのることを事前に確認しました。
ちなみに、柿渋はにおいがきつく、乾くまで時間がかかってしまうデメリットもあるので
DIYでの完成期間を考えて筆者の場合は却下になりました。
【02】木の保護・調湿作用を妨げない
木も生き物です。筆者が天井を開けて梁と対面した際に、
古い木であるのにもかかわらず松脂が出ていて驚きました。
「木材の木が呼吸できるようにしなければ、家も長持ちしない」
と筆者は思い、木の保護と呼吸ができるような塗料を選びました。(木部用ニスなどは樹脂が含まれているので塗膜を作ってしまいます。)
撥水性がよく拭き掃除がしやすいようなものを。
それに加えてニスのような光沢はデザイン的に合わないとも判断。
【03】内装に合う色を選ぶ
筆者は、壁の色は白にすると事前にデザインを、あらかじめ決めていました。
なぜかというと空間の主役である黒い梁を強調したかったから。
予算的に余裕があれば、アールジェイ 株式会社の「自然塗料いろは」を使いたかったところです。
※「朝山家」の床には「自然塗料いろは」を使っています。
【04】人間の健康面や自然に優しい自然塗料を選ぶ
自然塗料の有名どころでいえば、「オスモ」、「リボス」、「自然塗料Euro(ユーロ)」、「自然塗料いろは」、米ぬか自然塗料「キヌカ」あたりではないかと思います。
なぜ「オスモカラー」にしたかというと、価格的にもリーズナブルで、ひまわり油や大豆油といった植物油を使っており、オーガニックな塗料という点が魅力的だと感じたから。
それに加え光沢がないつや消しは、木の素材感を感じられるのが良い!と思い採用しました。
せっかく自然素材で作られた古民家なのでなるべく化学的なものを入れたくない。
自然素材にこだわった空間にすることに。
梁の塗装作業の準備と5つの作業手順
塗料を選んだところで次は、実際にDIYした手順を紹介したいと思います。
塗装の手順【01】梁をきれいに!硬く絞った雑巾で水拭き
写真:一度拭いただけで真っ黒になった雑巾
梁の掃除の方法としては、硬く絞った雑巾で拭くことがおすすめです。
最初は、煤とほこり、虫の死骸など様々な汚れがつきます。これは我慢。
ゴム手袋をした方が気持ち的にはよかったです。
そして、梁を拭いていく中で面倒だったのが
雑巾の繊維が引っかかってスムーズに掃除ができない箇所があったことです。
掃除をした後は、独特な匂いがしたので換気をしばらくしました。
塗装の手順【02】梁をきれいに!紙やすり、グラインダーなどで研磨作業
水拭きが終わり乾燥後、次は紙やすりやグラインダーを使って表面を軽く削りました。
最初は、紙やすりで地道に手でやすっていたのですが、
いかんせん削る作業範囲が広い!
そこで、グラインダーを投入!削りすぎに注意です。
あまり荒いやすりを使って研磨作業をすると、ムラが出て失敗します。
今回使ったのはコード有りのマキタのデイスクグラインダーでしたが、
充電式のディスクグラインダーの方が断然作業性が高いと思います。
塗装の手順【03】虫に食われて穴があいたところにはパテを塗る
グラインダーで削っていく中で、削れど虫食いの跡が目立つ場所がありました。
そんな時は、削るのを諦めてパテを塗ってみるとうまくいきます。
吉野石膏の上塗り下塗り兼用のパテを塗るとコスパが良いですよ!
特に古い松材の場合、虫食いの穴から粉が落ちてくることが多いです、、、。
そこで、パテで穴を埋めて表面を整えようという作戦です。
塗装もしやすいし(刷毛が引っかからない)
これ、本当におすすめなのでやってみてくださいね!
写真:パテを塗る前の梁の状態
写真:パテを塗った後の梁の状態
エボニーなどの暗い色を塗れば凹凸もわかりません。
これはちょっとした裏技。一石四鳥です。
塗装の手順【04】硬化後のパテの表面を削り、綺麗に平す
パテを塗った後は、表面を削って自然な感じにしていきました。
あえて凸凹を作ったりして、木の質感を再現するのも面白かったです。
これは、DIYの醍醐味ですね!
塗装の手順【05】養生をして塗料を塗る
写真:塗装作業を手伝う妻
DIYは事前準備が一番大事!
これは、やっている中で誰しも実感することではないでしょうか?
もしも塗料が垂れたり跳ねたりした場合のことを考えて養生をしました。
DIYの中でも塗料を塗る作業は楽しく、女性でも気軽にできるので
ワークショップなどの企画にしてみるのも良いかもしれませんね!
写真:塗装作業をする筆者
梁の塗装前と塗装後の色の比較
塗装前と塗装後、塗装をする中での色の変化などを比較した写真はこちら。
写真:塗装作業(一度塗り)
写真:塗装作業(二度塗り)
写真:手前塗装後、奥の梁は未塗装(研磨・パテ済み)
写真:高いところは簡易的に足場を作って塗装作業
写真:塗装が終わり完全に乾燥した梁の様子
梁の塗装作業にかかった時間
今回は、妻と2人で作業しました。作業時間はこんな感じ。※妻は写真と塗り係です。
- 梁の水拭き・乾燥:3日
- 研磨作業:2日
- パテ埋め:1日
- パテの研磨:1日
- 粉塵などの掃除:0.5日
- 塗装作業:3日
合計、約11日程度かかりました。
もし工務店などに頼んだら?
工務店に頼めば、その道のプロなので失敗の確率は低いです。
そして素人よりも断然早く、綺麗な仕上がりになります。
もし、個人で頼もうと思ったら、
- 天井などの解体の人件費と処分費
- 大工さんや塗装屋さん電気屋さん(配線を外す際)などの人件費や手配
- 材料などの選定や見積もり
- 消耗品などの購入費・手配
- 作業完了までの予定時間
などもあわせて計算すると良いと思います。(作業の規模感や状態によっては作業日数なども変わってきます。)
※大工日当、塗装日当、電気屋さんに頼む場合の日当を計算すると、依頼する工事の額をざっくりですが算出できます。(地域や状態による)
仮に頼む場合は、実際に現場にきてもらって試算してもらわないとわからないということがほとんどです。
※DIYでできない場合・失敗が怖い方、各職人さんの知り合いがいない場合は工務店やリフォーム会社などに相談してみましょう。
今回の作業の反省点や感想
- オスモ&エーデル株式会社「オスモ」のエボニー色で古民家の梁の色を再現できた。
- ウエスに染み込ませて刷り込むように塗る必要がある。1度塗りの際は塗料の伸びが良い。
- 2度塗りはペンキのようにさっとは塗れないので、想定していた時間よりも作業時間がかかった。(見積もり時間が甘かった)
- 刷り込むように2度塗りをすると、自分がねらった色になった。
- 梁の上に電気配線を計画する際は、電気工事のスケジュールの兼ね合いも考える。(塗料が乾いてからじゃないと電気工事が出来ない)
- パテの乾燥時間を考慮して作業の計画を立てると、さらに良いと感じた。
- 削る作業はグラインダーでやると粉塵が結構舞うので防塵マスクをして靴下の中や首元に粉が入らないようにタオルを巻くのが良い
- 削った粉塵が舞うので、換気用の大型扇風機を回しながらの作業で掃除の手間を減らせる。
前回の記録では、
体験談から学んだ漆喰作業のコツや古民家を選ぶ上での瓦や屋根の状態
について記事にしました。
【関連記事】:【DIY】古民家の雨漏りを修理した時の話。空き家を買う時は瓦を見極めろ!
【関連記事】:【DIY】体験談!漆喰を塗る時に失敗する初心者がやりがちなこと13選
次は、和室の床を下地から作った時の大工仕事の記録を残しておこうと思います。
古民家を再生する方や、DIYで古民家活用をする際の参考になれば幸いです。
それではまた!
今回使った塗料・塗装の道具
(2022/12/28)
\筆者が実際に使っているDIY工具たちはこちら!/
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