こんにちは!朝山家の聡士(@HbHlUnRqYkjbRMQ)です。
大分県豊後大野市の限界集落から発信しています。
前回の記事では、水源地までの道づくりを集落の皆さんと一緒にしたお話をしました。

今回は、集落の住民で共用利用をしている水道施設のローカルルールのお話です。
みんなでお金を出し合って作った水道施設は”集落の住民みんなで利用のルール”を作っています。
先人たちが作り上げた仕組みを少しづつ変えながら、今にいたるようです。
これも、伝統や田舎の風習の一つに入るのかもしれません。
集落住民みんなで運営ルールを決める=水道組合
前回の記事でも触れましたが、わたしの住んでいる自治区(小さな国のようなもの)では、
地域住民で水道設備の保守点検や運営していく仕組みを作ったりしなければなりません。
水道施設を利用する人が加入するのが『水道組合』なのです。
毎年、当番制で役員が決まり、大きく分けると
『集金・会計係』『連絡役』『会長』
組合の中から3名が選出されます。
状況や年にもよりますが、集落の方から教えてもらいながらこんなことをしました。
・水道屋さんの代わりに水道メーターの検針
・水道利用料の集金
・組合の役員になると、総会の設定・連絡や報告
・組合の通帳管理(会計処理)
・施設を改善する必要などあれば補助金の申請
・次年度の役員に引き継ぎ
などです。
自分たちで使うものは自分たちで管理しなければならないのは当たり前。
相互扶助のきっちりした仕組みがそこにはありました。
水資源は0円なのに水道代がなぜかかるの?
筆者の集落では、水は無料ですが水道利用料の他にコストがかかります。
電気代(山の谷部からの湧水のポンプアップ)
水資源は0円です。しかしながら、私たちの住んでいる場所は山の上。
水は低いところに流れるので、必然的に水を低いところから高いところにあげなければなりません。
そして忘れてはいけないのは家よりも、高いところに水を貯めておくことが必要です。
マンションの屋上などに据え付けてあるこんなやつ↓(受水槽)
それにはポンプを使う必要があり、“ポンプを使うということは電気のエネルギーが必要”であるということです。
水の使用料=稼働ポンプの電気代
ちなみに毎月の電気代は約¥2,5000/月です。(2箇所ポンプがあるため)
これを使用人数で割ったとしたらどうなるでしょう?
稼働ポンプの電気代 ÷ 組合加入人数 = 不平等?
たくさん水を使用してポンプを稼働させる人と、全然水を使用しない人との差に不平等が生まれます。
さて困った。
この問題を先人たちは、
月ごとに使用した水の体積量[m^3] × ¥100 = 個別の使用料
※体積量10[m^3]未満の場合は、端数を切り捨てて一律に¥1,000。
例)検針日に16[m^3]使用した場合は水道料金¥1,600
こうすることで、電気代を支払った後の余剰金を積み立てる仕組みが今まで続いています。
集落の人口が減ってしまうと、積み立ての仕組みが崩壊してしまい、
今までのやり方を変える必要性が出てくる可能性が出てきます。困った。
水道施設の老朽化や自然災害の対策(積み立て)
ものである以上設備は壊れたり、修理する必要があります。
いざそうなった場合、まとまったお金をすぐに出すことはできないので、
毎月少しづつ、少しづつ積み立てていく保険のような仕組みはやはり大切です。
2021年は大雨が続き、落雷による設備破損があり、先人たちの積み立てに助けられました。
非常にありがたい。
水道料金の検針と集金の仕方は?
検針の方法はいたってシンプル。
各家に検針メーターが付いていて、先月分の使用体積の差分を徴収します。
検針をする担当は勝手に家の敷地に入ってきて、水道のメーターなどを確認するのですが、
お互いの信頼関係で成り立っているので何も驚きません。田舎ならではほっこりします。
時には、しいたけや作った野菜、山菜をおすそ分けしてもらえることも!
※毎月決まった日に使用料を伝えて、直接使用料金を受け取ります。
受け取った後は、JAバンク(農協)へ納めにいきますが、”平日にしか空いていない”こと
と”入出金の手続きが手書きの用紙”であることに少し煩わしさを感じました。
集金と検針は集落支援員の役も兼ねているのかもしれません。
貯水タンクもみんなで掃除しよう!
年に一回、夏になると組合のみんなで貯水タンクの清掃を行います。
止水の方法や、ポンプの止め方などやったことないことだらけでした。
掃除を怠ると、各家庭で使用する水の水質が悪くなり、利用者の健康を害する恐れもあります。
貯水槽の中のサビや、コケなどをブラシで落として、消毒していきます。
毎年この方法で、掃除を行っているようですが、水質検査もしっかり合格しています。
掃除が終わると、水の神様に御神酒を備えて完了です。
水への感謝の気持ちは、『自分たちで管理するからこそ強くなる』のだとしみじみ思いました。
まとめ
・水道料金については集落の担当が毎年回ってきて、検針と集金をする。
・上水使用料は自分が使用した水の体積×¥100(私たちの住んでいる集落の場合)
・万が一自然災害で設備が壊れた場合、保険制度を独自で作っている。
・人に会いにいくきっかけが作れる。
・災害時でも、設備は使えない可能性があるが水がないわけではない。
・水道の設備は、集落の組合の持ち物であり行政所有ではないため、今後大きな出費を考えると不安になる。
・それでも、美味しい山の湧水を飲める幸せ。
みんなで協力することで、集落のインフラが支えられています。
”水道は水道屋さんや行政がする仕事”という今までの価値観が今回も覆されました。
(2020/03/21の出来事)
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